最高裁判所第一小法廷 昭和28年(あ)19号 決定 1953年5月14日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人天野末治並びに被告人の上告趣意は違憲をいうけれども、その実質は単なる法令違反の主張に帰し、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(住居侵入罪は故なく人の住居又は人の看守する邸宅、建造物等に侵入し又は要求を受けてその場所より退去しないことによって成立するのであり、その居住者又は看守者が法律上正当の権限を以て居住し又は看守するか否かは犯罪の成立を左右するものではない。されば、所論は原判決の主文に影響のない法令違反の主張に外ならない。)また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 岩松三郎 裁判官 真野 毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎)